ママは小児科医
小学生の2人の男の子のママをしながら、働く小児科医です。 育児のこと仕事のことなどお話していけたらいいな。
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サーバリックス
こんにちは。
またまた、久しぶりのブログ更新となってしまいました。
書きたいお話はたくさんあるのですが、twitterで短文を書くのに慣れてしまったら、
なかなか長文を書こうとしなくなっている自分がいて、反省です。

さて、今日は、サーバリックスについて、少しお話できたらと思います。
サーバリックスとは、子宮頸癌ワクチンのことです。
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最近、よく話題になっていますので、お聞きになられたこともあるかと思います。
また、販売元のグラクソさんがいろいろな所に広告をお出しになられているので、ご覧になったこともあるかもしれません。

子宮頚がん総合サイト


子宮頚癌は最近、20~30代の若い女性に急増している癌です。

子宮

私の知り合いの方でも、20代で罹患した方がいます。
その方は妊娠を機に癌が発見されましたが、既に進行がんで、赤ちゃんを助けることは難しく、
悩まれましたが、赤ちゃんを諦めて、治療をお受けになりました。
こんなふうに、命はもちろんのこと、妊娠や出産の可能性まで奪ってしまうことのある病気です。

子宮頚がんの罹患率と死亡率


子宮頚癌の原因は、ほとんどが発癌性ヒトパピローマウイルス(HPV)の感染です。
HPVは特別な人に感染するわけではなく、多くの女性が一生のうちに一度は、もしくは数回感染する、ありふれたウイルスなのです。
HPVに感染しても、多くの場合は、自分の免疫でウイルスをやっつけて体外に排除します。
しかし、免疫状態やウイルスの状態によっては、感染が持続して、細胞を癌化させていきます。
HPVは男性にも感染しますが、男性ではHPVが前立腺に隠れてしまい、ほとんどが持続感染となります。
しかし、女性のように癌化するなどの悪さをすることはありません。
極端に言うと、成人男性の多くは、HPVを持っていると考えられるのです。
そして、女性は、男性と性的関係をもつことで、HPV感染を起こします。
HPVに感染して自然淘汰されればよいのですが、いつ持続感染になるかは誰にもわかりません。

そのため、性行為を経験する前にワクチンをすることが非常に大切なのです。
HPVに対しての自然免疫は期待できませんが、ワクチンの効果は非常に高いという報告があります。
サーバリックスはHPV16、18型に対するワクチンで、この二つの方で発癌性HPVの60%を占めると言われます。
残りのHPVについても交差反応が期待されるため、ある程度の効果が期待できるという報告もあります。
ワクチンの有効性は非常に高いのですが、予防効果が100%ではないために、
子宮癌検診を一緒に行っていくことが、子宮頚がん予防には大切です。
公費助成のある子宮癌検診はたいていは30歳からですが、最近は20代の子宮頚癌も増えていますので、
性的活動がある人であれば、20代からでもぜひ癌検診を受けてほしいと思います。

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また、実際に性交渉を済ませてしまった人には、ワクチンの効果がないかという問題ですが、
これは、実際にはわかりません。
HPVが持続感染を起こしているかどうかは、わからないためです。
性交渉後の方でも、ワクチンを受けることはできます。
ただし、上述のような理由から性交渉前の方ほど、はっきりとした有効性はお示しできません。
万が一、持続感染していなければ、効果が期待されますし、
持続感染していたとしても、ウイルスを排除する効果こそはありませんが、接種をしたことで不都合になることはありません。
最近は、性の早熟化とも言われています。
親に性行動について、逐一報告をしてくれる思春期のお子様は少ないと思います。
このワクチンは10歳から接種できますので、ぜひ、早めに受けさせてあげてほしいなぁと思います。

次回は、ワクチン接種の実際についてお話したいと思います。




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Hib(ヒブ)ワクチン
こんにちは。
今日は、ヒブワクチンについてのお話をしたいと思います。

ヒブワクチンはインフルエンザ桿菌タイプb(Hib)に対するワクチンです。
インフルエンザ(ウイルス)ワクチンと区別をするためにHib(ヒブ)ワクチンと呼ばれます。
Hibは細菌性髄膜炎の原因菌の第一位です。
髄膜炎の他にも肺炎、敗血症、化膿性関節炎、急性喉頭蓋炎などの病気を起こします。

Hib髄膜炎は年間1700人程度罹患します。
非常に進行が早く、抗生剤を使っても間に合わずに2-5%程度の人が亡くなります。
また、一命を取り留めたときに20-30%の後遺症を残すことがあります。

5歳未満の子、とくに2歳未満での発症が多く見られます。乳児での発症もみられます。
髄膜炎は誰がかかるかはわかりません。また、はじめの症状も普通の風邪と変わらないため、小児科医の診察を受けても気づかれない場合も多いです。

うちの子は、現在ふたりとも小学生のため、このワクチンが発売になるころには、接種年齢を超えてしまいましたが、
うちの子供たちがHib髄膜炎に罹患しなかったのは、あくまでもラッキーだったからで、もしかしたら、罹っていたかもしれないのです。

病気は突然起こります。痙攣や、意識障害などで運ばれてきて、
髄腋検査(背中から針を刺す検査)をすると、
通常であれば、透明な液体が出てくるのが、白い牛乳のような液体が出てくるのです。

それを見たときのショックは、何回見ても慣れるものではありませんし、とくにHibワクチンが発売されてからも、当院でも2例ほどの発症がありますが、「ワクチンをしていれば…」と残念でならないのです。

Hibワクチンは非常に効果が期待されるワクチンです
欧米では、70%程度の接種率となり、髄膜炎は1/4~1/3に減少しました。
アメリカでは、90%以上の接種となり、2008年全米での発症は6例のみでした。(日本では1700人ですよ)
Hibアメリカ罹患率


1988年には、WHOから経済的に可能な国はこのワクチンを定期化するようにと勧告していて、日本では2008年12月に任意接種として導入されました。

副作用についての御心配があるかと思いますが、Hibワクチンはアメリカでは1993年からフランスでは1992年から接種されていて、現在100カ国以上で接種されています。重篤な副作用の報告はないようです。ワクチンですので、局所で免疫反応を起こすため、腫れたりすることはありますが、いずれも一過性に経過すると言われています。

  局所副作用 注射部の発赤 45.9%、腫脹23.1%、硬結21.5%、疼痛9.1%
  全身副作用 発熱4.1%、不機嫌23%、下痢10.7%、嘔吐8.3%
     いずれも、一過性で永続的な障害の人はいません。

接種スケジュールは初回の接種を始めた年齢により異なります。

2ヶ月~7ヶ月未満で開始・・・3回+1回(1年後)の合計4回
7ヶ月~ 1歳未満で開始・・・2回+1回(1年後)の合計3回
1歳以上で開始・・・・・・・・1回のみ


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現在Hibワクチンの供給が十分ではないため、予約制で行われています。
今年(2010年)7月以降、供給が2倍になると期待されていて、現在は予約制ですが、もしかしたら、予約なしで接種できることになるかもしれません。

ただし、これは可能性ですので、現在接種を希望される方は、早めに予約をされてください
もし、供給量が増加すれば、予約より前倒しで接種が可能となるかもしれません。

2007年の出生数は109万にんで、そのうち8万人ほどがゼロ歳児保育を受けていると言われています。
集団生活をする子供は数カ月でHibに感染すると言われています。

Hibワクチンと小児用肺炎球菌ワクチンの定期化は、小児科医や子供をもつ親たちの夢です。
署名活動やワクチンの必要性などを訴え続けてはいますが、定期化されるかは、まだわかりません。定期化や補助などを期待して、接種時期を逃しては意味がありません。

ぜひ、積極的に接種されることをお勧めします。




KNOW-VPD!「子ども手当」でワクチンを
PVD(ワクチンで防げる病気)とは...
こんにちは。
久しぶりのブログの更新です。

先日、開業医の先生向けに「小児のよく見る疾患のプライマリーケア」という講演をさせていただきました。
その中で、一番反響が高かったのが、VPD(vaccine Preventable Disease:ワクチンで防げる病気)についてでした。
Twitterでそちらについてつぶやかさせていただいたのですが、メッセージを多くいただきましたので、
少しブログにまとめていきたいなぁと思います。

VPDって御存じですか??
「ワクチンで防ぐことのできる病気」のことです。
言葉のままですが、ワクチンを接種することで、罹ることを防げたり、罹っても重症になることができる病気のことです。
つまり、ワクチンをつくってまで、その病気を防ぎたいという思いのある病気のことなんです。

   http://www.know-vpd.jp/

日本では、ワクチンについては、副作用の心配ばかり大きくとらえられて、実際の効果について、論じられることがあまりないように思います。
たとえば、2007年にある製薬会社さんが、ワクチンに対する意識調査を行いましたが、
その中で、「ワクチンを接種することに抵抗を感じますか?」という質問に、Yesが30.1%いました。つまり、ワクチン自体やその有効性については認知されているにもかかわらず、ワクチンによる副作用やワクチン製剤に対する理解の不足によると思われる過剰な抵抗感が存在しているということが明らかになったのです。

日本人は、人からうつされた病気については寛大ですが、予防接種をうって、熱が出るなどの副作用が起こるとそれに対しては非常に敏感に反応します。
たとえば、予防接種の翌日、発熱がみられたお子さんを連れていらっしゃったお母様の実際の反応ですが、のどが赤いため、「風邪でしょう」とお話をすると安心され、「予防接種の副作用だと思います。熱がすぐに下がるようであれば心配ありませんよ」とお話をするとすごく心配される、ということが実際あります。

ワクチンには、当然のことなのですが、有効な作用のほかに、例えば腫れるとか、熱が出るなどの反応がみられます。これは、きちんとした免疫が成立するためにどうしても避けられないプロセスなのです。ワクチンで熱が出ることよりも病気そのものにかかったときのほうがより大変であるという、正確な認識が日本人にも定着してくれればと願ってやみません。

欧米では、親御さんたちが病気について非常よく理解しているそうです。また州によっては、予防接種をきちんとしていなければ、保育園に入れないというところもあるそうです。

実際、日本の調査で、保育園入園後の乳児の保菌状況(つまり、そのばい菌にかかったかということ)を調べたものがあります。
0歳児が入園から1~2か月で88.9%の子がインフルエンザ菌、肺炎球菌の両方を保菌しているそうです。

保育園の入園後


インフルエンザ菌、肺炎球菌は、肺炎や中耳炎、髄膜炎など時には命にかかわる病気を起こす細菌です。集団生活の中でこの細菌に感染して、髄膜炎を起こさなかったというのは、あくまでも、ラッキーだったにすぎないのです。

うちの子が小さい時には、インフルエンザ菌ワクチンも肺炎球菌ワクチンもありませんでしたが、うちの子が髄膜炎にならなかったのは、あくまでもラッキーだったからで、髄膜炎にかかっていても、おかしくはなかったのです。

細菌性髄膜炎は、いまだにうちの病院でも年に2-3人程度罹患します。発熱、痙攣で受診し、髄腋検査をしたときに、通常であれば透明な液体が出てくるはずなのに、白い液体が出てきたときの悲壮感、小児科医であれば誰しも経験していると思います。
欧米では、インフルエンザ菌ワクチン、肺炎球菌ワクチンを定期接種にすることで、髄膜炎が非常に減少しました。日本でも、欧米なみにインフルエンザ菌ワクチン、肺炎球菌ワクチンを接種することができれば、重症細菌感染症のリスクは1/10程度まで軽減されるのではないかと思っています。

現在小児科医の中で、Hibワクチンや肺炎球菌ワクチン、水痘ワクチン、ムンプスワクチンなどの任意ワクチンについて、定期接種となるように、行政補助を受けられるようにと活動をしていますが、すぐには難しいかもしれません。

VPD(ワクチンで防げる病気)について理解していただいて、ひとりでも多くワクチン接種が可能になればうれしいと思います。最後まで読んでくださって、ありがとうございます。





肺炎球菌ワクチン
こんにちは。

 今日は、今年2月に発売になった小児用肺炎球菌ワクチンについて、お話したいと思います。肺炎球菌は、多くのこどもの鼻やのどに常在しているばい菌で、のどに住んでいるだけでは悪さはしませんが、免疫力の弱い乳児や体力や免疫が落ちた時などに、菌が深いところに入り込んで、いろいろな感染症を起こします。


肺炎球菌年齢

今回発売になったプレベナー(PCV7)は、91種類ある肺炎球菌の血清型のうちの7種類を予防することができます。この7種類で、肺炎球菌感染症の70%を防げるといわれています。

PCV7髄膜炎血清型


 プレベナーの接種スケジュールは以下のようです。
プレベナーの接種スケジュール

月齢、年齢が大きくなるにつれて、接種回数が少なくて済むようになっていますが、肺炎球菌の髄膜炎の半数は1歳未満の乳児で起こります。また、妊娠中にお母さんからもらった抗体は、生後2~3ヶ月で、なくなるといわれています。おなかの中からの免疫は6ヶ月くらいまではあると考えている方が多いと思います。それは、多くのウイルスの場合です。

 保育園へ入園後ののどの常在菌について調べた報告がありますが、それによると、入園1~2ヶ月で88.9%の人で、インフルエンザ菌、肺炎球菌ともに陽性になったという報告があります。
保育園の入園後

ですから、とくに乳児期(1歳前に)集団生活を予定している方には、ぜひ、肺炎球菌ワクチンとインフルエンザ菌ワクチンを接種してからの入園をお勧めしたいです。
予防接種の効果と副反応について
こんにちは。

春になり、保育園への新入園児の感冒症状、入院が増えています。
そこで、感染予防の効果が一番高いとされるワクチンについて、お話していきたいと思います。

日本人は、人からうつされた病気に対しては、寛大ですが、予防接種を打って熱が出るなどの副反応が起こると、それに対しては、非常に敏感に反応する民族です。
例えば、予防接種をした次に日に熱が出て、外来にいらっしゃってくださった時に、
病院に来た時に風邪をもらっちゃったのかもしれないね、言うと、しょうがないなぁ、と思ってくださいますが、
予防接種の副反応ですね、と言うと、「え! それは、大丈夫ですか」といった具合です。

ワクチンをうって、きちんとした免疫が成立するためには、プロセスとしてどうしても避けられない免疫反応があります。
そのため、ワクチン接種後、微熱や腫れや痛みが出るということがあります。
この反応は、免疫反応を理解していれば、当然のこと、必要なことと思えます。

ワクチンは、必要だから、有効であるからおこなうわけで、
副反応が怖いからやりたくない、というのは、ナンセンスだと思うのです。
例えば、外来でも、肺炎球菌やインフルエンザ桿菌がどういう病気を起こすのかという、肝心なことを知らないお母さんは意外と多いです。(徐々にブログでお話していけたらと思いますが)

ワクチンの中には、微熱、腫れるというのを超えるような大きな健康被害を与える副反応が起こるものも確かにあります。
ただし、その大きな副反応が起こることと、例えば髄膜炎を起こす可能性がどちらが高いかということを考えて欲しいのです。

それには、メディアの問題もあると思います。
例えば、ワクチンで大きな問題が一人に見られた場合、その一人についてのみ取り上げられます。
もちろん、重症な副反応は1件でも起こらないことが望ましいです。
しかし、その一人のほか、残りの人たちは、髄膜炎などの大きな病気にかからずにすんで助かっているのです。

これを読んでくださったお母さんたちは、ぜひお子様のためにワクチンを前向きに打ってもらえるようになってほしいなぁと願っています。

次回は、今年から接種可能となった肺炎球菌ワクチン、Hibワクチンなどについて、お話できたらと思います。

それでは、また。
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